正直、プレイするまでは「自分にクリアできるのかな?」と少し不安だったゲーム。
でも気がつけば、プレイ時間は200時間を超えていました。
それくらい、ここ数年のゲームの中で最も深くのめり込んだ作品――それが『キングダムカム・デリバランスII』です。
リアルで不自由な操作や、地味にも思える日常の積み重ね。けれどそのすべてが、“ゲームの中で生きている”という実感につながっていく。このゲームを通して、自分が中世を旅し、生き、戦ったような錯覚すら覚えました。
ゲームに「擬似体験」や「没入感」を求める人には、間違いなく刺さると思います。
ということで、今回は少し熱めに、この唯一無二の体験について語らせてください!笑
ストーリーに関するネタバレはありません。
このゲームの一番の魅力は「生きている中世を体験できる」こと
『キングダムカム・デリバランス2』の最大の魅力は、まさに“中世を生きる”という感覚を味わえることです。
これは単なる雰囲気づくりやグラフィックだけではありません。
ゲーム内のあらゆる要素が、リアルな世界の制約を反映し、プレイヤーに現実と同じ「面倒くささ」や「苦労」を強いることで、強烈な没入感を与えてくれます。
たとえば、持てるアイテムの量には限りがあり、荷物を詰め込みすぎると、馬にも乗れなくなるし走ることもできません。結果、リアル時間で10分以上かかる距離を、ただひたすら歩くことにもなります。
お金も最初はほとんど持っておらず、道中に遭遇する敵も強い。
序盤からこの世界の厳しさが容赦なくプレイヤーに突きつけられます。
しかし、不思議と苦にはならないのです。
なぜなら、登場するNPCたちが話す内容が非常に面白く、ただ街を歩いて人々の会話に耳を傾けるだけでも、その土地に“生きている人間”がいることを実感できるからです。
サブクエストもひとつとして単調ではなく、解決方法がひとつに限らないうえに、プレイヤーの選択によって結末が変わります。それゆえ、ただの「ゲームの依頼」ではなく、「自分の行動としての選択」を迫られるような感覚が常につきまといます。
空腹になればスタミナは落ち、腐った食べ物を口にすれば病気に。
お酒に弱ければ簡単に酔っ払って視界がグルグル回り、夜更かしすればそのまま道端で気を失うこともあります。
こういったシステムだけを聞くと、まるで“面倒くさいゲーム”のように思えるかもしれません。
でも、これこそがこのゲームの本質です。
この一つひとつの“現実的すぎる制約”が、プレイヤーをまるで中世にタイムスリップさせたかのような没入体験へと導いてくれるのです。
「キャラクターを操作している」ではなく、「自分がそこで生きている」と思わせてくれる。
そんな感覚を味わえるゲームは、他にほとんど存在しません。
難しいって本当? よくある不安
『キングダムカム・デリバランス2』は、前の見出しで紹介したように、中世のリアルな生活を徹底的に再現しているゲームです。
そのため、「オープンワールド初心者には厳しいのでは?」という声もよく見かけますし、実際に私自身も、最初は「クリアできるのかな」と不安でした。
戦闘は、最初から派手な技が使えるわけではありません。
主人公はごく普通の青年で、戦いに慣れていないため、敵と一対一になっても決して簡単には勝てません。
もし野盗に囲まれでもしたら、あっという間にやられてしまいます。
そんな状況に「心が折れそう」と感じる人も少なくないと思います。
でも、200時間以上プレイしてきた私から、ひとつだけ伝えたいことがあります。
どうか、その困難を乗り越えてみてほしい。
たしかに最初はつらい。でも、このゲームには「がんばったことが必ず自分の力になる」手応えがあります。
この世界では、敵を倒すたびに経験値が入るような単純な仕組みではありません。
剣を何度も振れば「剣術」が上がり、重たい荷物を運び続ければ「筋力」が上がります。
また、宝物のピッキングがこのゲームは少しクセがあって難しいんですけど、何度も数をこなすと、いとも簡単に開けられるようになるんです。
つまり、自分の行動すべてがキャラクターの成長に直結するんです。
最初は苦戦ばかりだった戦闘も、何度も挑戦しているうちにスキルが身につき、やがて自分の手で戦いをコントロールできるようになります。
そうして気づいたときには、プレイヤー自身がこの世界に馴染み、逞しくなっているはずです。
苦労の先にある「成長」と「達成感」を、ぜひ味わってみてください。
それは、ただのゲームを超えた、本物の“体験”になるはずです。
実際に200時間プレイしてわかった“このゲームが刺さる人”
『キングダムカム・デリバランス2』は、万人に優しいゲームではありません。
しかし、あるタイプの人にとっては、他では決して得られないほどの“深い没入感”を与えてくれる作品です。
実際に200時間以上この世界で生きた私の実感として、「このゲームが刺さる人」は、こんなタイプの方です。
ゲームに「体験」や「実感」を求めている人
単なる物語の追体験ではなく、「自分がそこにいるかのようなリアルさ」を感じたい方には、このゲームは理想的です。
毎日の食事や睡眠、体調管理など、生活の細部がシステムとして組み込まれており、まるで中世の世界で自分が暮らしているような実感を得られます。
一人で膨大な時間をじっくり楽しめる人
メインストーリーを急いで進めるようなゲームではありません。
街を歩き、道を外れ、誰かの話に耳を傾け、偶然拾ったアイテムひとつにも意味がある――。
そんなふうに、「ひとり遊びの深さ」を楽しめる人ほど、この世界にどっぷり浸かれます。
「攻略」より「没入」を大事にする人
効率や最短ルート、最強ビルドといったよくあるアクションゲームの攻略よりも、自分の選択がどう世界に影響するのかを体験したい人に向いています。
サブクエスト一つとっても、選んだ道によって展開や結末が変わり、後に響くこともあります。
「自分ならどうするか」を試される分岐の連続が、このゲームの魅力のひとつです。
「中世という時代」にロマンを感じる人
現実にあった15世紀のボヘミア王国。
この時代の空気感や価値観、宗教、政治、人々の生活様式に興味がある人には、他に代えがたいほど濃密な世界が待っています。
楽に勝てないゲームを楽しめる人
このゲームには、「気持ちよく敵を倒せる」瞬間はそうそう訪れません。
最初は負けてばかりでも、徐々に装備やスキルが揃い、自分の手で状況を変えられるようになっていくプロセスこそが、このゲームの醍醐味です。
コツコツと自分の力を積み上げていく達成感を味わいたい人には、特に刺さるはずです。
不自由さを“没入感”として受け止められる人
セーブが限られていたり、視界が夜になると見づらくなったり、寝床を探す必要があったりと、現実のような不自由さがあります。
でもその不便さこそが、ゲームの世界に“本当にいる”という感覚を強くしてくれます。
システム的な快適さよりも、リアリティのある世界で生きる面白さを求める人には、たまらない設計です。
こんな人には厳しいかも? 正直なプレイ感
ここでは、プレイしていて「これは人によってはきついかも」と感じた点を正直にお伝えします。
サクサク進めたい人には向いていない
このゲームには、レベル上げの近道や効率的な攻略法のようなものはありません。
むしろ「なかなか進まないこと」が前提の設計で、移動ひとつ、食事ひとつ、薬の調合ひとつにも準備と管理が必要です。
クエストの進行も複雑で、地味な聞き込みや移動を繰り返す場面もあります。
なので「短時間でガッと遊びたい」という方にはストレスに感じるかもしれません。
システム的な不親切さがある
UI(ユーザーインターフェース)や操作性には、正直慣れるまで少し時間がかかりました。
ゲーム開始直後はムービーやチュートリアルがありますが、それが一通り終わった後いきなり広い世界でお金も装備も持たない状態で放り出された気分になり、最初は「何からやっていけば・・・」と悩みました。
セーブに制限がある
好きなタイミングで自由にセーブできるわけではなく、セーブには「セービアシュナップ」というお酒アイテムが必要だったり、ベッドで寝る必要があります。
ミスをやり直したり、プレイを中断するのが難しい場面もあるため、「ちょっとだけプレイしたい」人には厳しく感じるかもしれません。
派手な演出や快感は控えめ
アクションRPGにありがちな「ド派手な技で敵を一掃!」のような爽快感はありません。
剣での戦闘は実際のフェンシングに近く、じっくり読み合い、慎重に攻撃と防御を重ねるスタイル。
それがリアルである反面、スピード感や派手さを求めている人には物足りなく感じるでしょう。
Kingdom Come 2は前作未プレイでも楽しめる?
結論から言えば、前作をプレイしていなくても、まったく問題なく楽しめます。
実際、私自身も『キングダムカム・デリバランス1』は未プレイのまま、今作を始めました。
ですが、冒頭にしっかりとしたムービーが用意されていて、前作で起こった出来事の大まかな流れを把握できる構成になっているため、ストーリーに置いていかれるようなことは一切ありません。
ストーリーの流れもスムーズで、登場人物との関係性や背景も自然と理解できるようになっており、何不自由なく没入することができました。
もちろん、前作をプレイしていれば、「あ!この人久しぶりだなぁ〜!」といった再会の喜びや、前作での出来事を思い返す感動をより深く味わえる場面もあったと思います。
でも、それはそれであって、前作を知らないことで損をすることはほとんどありません。
むしろ、私は今作『2』にハマりすぎて、クリア後に改めて『1』をプレイしました笑
結果的に1を後からプレイすることで、「この人とこういう過去があったのか…!」と、2でのシーンに思いを馳せるようになり、別の角度から楽しむことができました。
本音を言えば、1から順番にプレイするのが理想かもしれません。
でも、どちらも非常にボリュームがあり、時間をかけてじっくり味わうタイプのゲームなので、まずは今作から入ってみるのも、まったく悪くない選択です。
特に2は、グラフィック面でも進化していて、戦闘の難易度も前作より調整されており、初心者でもプレイしやすい設計になっています。
だからこそ、少しでも気になっているなら、今作からのスタートでOK! 自信を持っておすすめできます。
総評:Kingdom Come 2は「不自由さを楽しめる人」にとって、唯一無二のゲーム体験
ここまで熱く語らせていただきましたが、このゲームで個人的に一番熱中したのは“盗み”かもしれません笑
誰もいない家にこっそり侵入しても、すぐに怪しまれ、うまくごまかせたと思っても、後日訪れると指名手配されていたりする。そんな緊張感とリアリティの中で、完璧に盗みを成功させた瞬間の快感は、他のゲームでは味わえません。
さらに、ストーリーも秀逸。終盤のある場面では、胸の奥から熱いものがこみ上げてきました。
「この時代をもっと知りたい」と思わせてくれるような、重厚で力強い物語が展開されます。
「ただのゲーム」を超えて、「生きた歴史ドラマ」を体験できる。
そんな唯一無二の旅を、ぜひ自分の手で味わってみてください。